映画「男と女」のこと。
ちょいと好きな映画なんかの事でも書いてみようかと思います。
先日亡くなられた巨匠フランシス レイが音楽を担当してヒットした映画「男と女」(1966 フランス)は僕の中でベスト3に入る好きな映画です。
とはいえ僕がこの映画に見ているのは「映像表現」的なことであって、あくまで映像センスの良さに感銘を受けているのであり、ここで描かれている「男女のラブストーリー」そのものにはあまり関心はないです。というか全然ないです(笑)
そうこれは物語と言うよりはエッセイなんですね。
この映画を見たら、ストーリーはそれ自体よりも、どういう文脈で表現されるかが重要なのだと教えてくれます。
というかこの映画、実はラブストーリーに託けたクルマ好きレース好きな男の映画だと思います(笑)
ルマンやモンテカルロラリーの様子がリアルに描かれていて、私のようなクルマ好きにはもうそれだけで堪らない映像なんですよね(笑)
モンテカルロラリーなんて実際にエントリーしてレースに参加しながら撮影したらしく、こうなったらもうただのレースオタクですよね(笑)
しかしそいうところがこの映画の本質的な魅力に繋がっているわけです。
音楽だって同じで、一度商業ベース的なところを忘れてみて一旦自分の好きな世界をマニアックに追求してから制作されているものってやっぱり魅力的ですよね。
ちなみにこれはほぼ自主制作的に作られた映画だそうで、低予算かつ短期間で撮られたため、カラーフィルムの調達がままならず半分モノクロになってしまったという苦しい事情があったらしくそういうところもまた興味をそそりますね。
しかもこの斬新なカメラワーク(ここ重要)は監督自らがカメラを担当して撮影しているからこそ撮り得た映像となっており、
細かいことは気にしないで勢いでできちゃった感がまた良いのです。
いや実際はカット割りなんかはものすごく考えられていて、だからこそのスピード感があるんですけれども。
とにかく味わい深くてスタイリッシュな映像は全く古さを感じさせません。
流行に流されない普遍的な美しさというやつです。
この解像度の低いフィルムならではの味わいに懐かしさを感じる世代の人でなくてもむしろ新しい発見があると思います。
なんといってもこのシーン。
夜を徹してドライブしてドーヴィルの海岸で再開するシーン、最高です。
このガソリンスタンドのシーンも好きです。
あんまり載せると怒られちゃいそうなのでこれくらいにしておきます(笑)
ちなみにこの映画を見るコツをお教えしておきますね(笑)
まず最初から最後まで通して見ます。(途中退屈になってくるところがあるかもしれませんがちょいとがんばってください(笑))
そのあともう一度今度は好きなシーンを部分的に見る。
ストーリー展開を追う映画ではなく場面場面の美しさを味わう映画なのでこの見方が正解かと思われます。